桜医院 院長 柴田美奈子先生の投稿です。
NAHWのホームページをいつもご覧いただいている皆様なら、きっと、「和温療法という治療法を初めて聞く」という方は少ないのではないかと思います。
実は昨年の11月にNHKの人気情報番組「あさイチ」の特集でも、この「和温療法」のことが取り上げられましたので、そこで医療関係者ではない一般の方々にも、全国的にこの治療法が知られたのではないかと思っています。
和温療法というのは、開発者である元鹿児島大学教授の鄭先生が、まさにその言葉どおり、和む、ぬくもりの治療方法であることから、そう命名されました。
鄭先生の言葉をそのまま引用させていただきますが
「安全で、患者を和ませる心地よいぬくもりで、気持ちの良い発汗を施す、苦痛を伴わない、大変優しい治療」なのです。
この和温療法を、私が院長を務める桜医院でも、開院当初から取り入れています。今回は、当院での和温療法の取り組みについて、現場の様子を、写真を交えてお話ししたいと思います。
当院のモットーは「お薬に頼り過ぎず、患者さまが自分で自分の身体をメンテナンスする姿勢を持つことを応援する」です。
特にメタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームの患者さまの運動指導には、大変力を入れています。日々の生活の中に、定期的な運動をする習慣を持つことは、身体メンテナンスを行う上で、大変重要です。
しかし、心臓や関節に重篤な疾患を抱えた方の場合は、運動をすること自体にどうしても制限がかかります。中には運動することは現時点では無理という方もおられます。
そんな方でも、和温療法なら無理なく、しかも運動したのと同じような全身の血流改善効果が期待できますので、病態によって、運動指導に取り組めない方をまずは和温療法から始めて、徐々に運動指導へと導いていきたいと思い、導入を決意しました。
現在のところ、当院において基礎疾患に心臓疾患を抱えた方や運動器の絶対的障害で運動が完全に不可という患者さんはおられません。
現在、当院に和温療法を求めて通院されている方は、重度の末端冷え性の方、アラフォー妊娠トライ中の冷え性の方、リウマチで関節の痛みの強い方、お仕事多忙による過労で自律神経機能障害をおこされている方、更年期ウツの方、理由のわからない全身のしびれ感のある方などで、すでに運動指導と並行して和温療法を受けておられる方が大半となっています。
それでは、和温療法というのは、実際どんなことを行う治療方法なのかを、写真付きでご説明したいと思います。
1回の治療行程は、お着換えの時間も入れて約1時間。
治療に入る前に、まずは患者さんにお手洗いを済ませておいていただきます。
次に、血圧、体温、体重、P.I.値(末端の血流を数値化で示す値)を計測します。
更衣室で私服から病衣に着替えていただきます。
和温療法は多くの方の場合、大量の汗をかきますので、下着もすべて外していただき、紙ショーツを身に付けていただきます。
*写真3
準備が整ったら和温機に入ります。
和温療法機は医療用の乾式サウナで、テレフォンボックスサイズの総ヒノキでできた医療機器です。遠赤外線によって、効率よく全身を温められるようになっています。
中には人が一人入れるベンチがついていて、ここに15分座ります。
15分経過したら、今度は身体をタオルでぐるぐる巻きにして、ベッドで横になっていただきます。
この状態で30分。お部屋の温度は季節に変わりなく26度に保たれています。
終了後には爽快な汗がたっぷりと出ています。
終了後も前と同じようにバイタルチェックを行います。
体重はいらしたときと同じ私服に戻ってから計測します。
和温浴前よりも体重が減っていたら、同じだけ水分を補います。
これで終了です。
手先や足先などの末端まで、しっかり血流が改善したことを実感できます。
和温療法は慢性心不全の方の治療法として鄭先生が開発されたもので、特に重症の心不全や動脈硬化症性の疾患の是正に有効であることが既に医学的に立証されています。
深部体温も平均1℃上がることがわかっており、それらによって、免疫力が高まり、心身ともにリラックスでき、食欲、睡眠、排せつを是正したり、抑うつ気分を改善して、体調全般を改善してくれます。
当院でも、和温療法を受けられた方の感想には、
・単に体が温まっただけでなく、気持ちまでリフレッシュした
・その日の夜はとてもよく眠れた
・和温療法を受けると、お腹が空いてくる。お通じがよくなる。
・生理前に入っておくと、月経痛が軽くなる。
といった、副次的な効果をお話しになる方も多くみられます。
鄭先生がこの治療法を開発されたきっかけは、1989年にさかのぼると伺っています。1989年というのは平成元年ですので、まさに平成の年数と和温療法の開発進化の歴史は同じ年数です。
鹿児島大学を始め、天野惠子先生のおられる静風荘病院など現在和温療法を取り入れている医療機関で、既に多種多様な疾患で、この治療法が有効であった症例報告を聞いております。
これまで治療法がなかなか確立されてこなかった疾患においても、有効性が顕著に出ており、和温療法の治療メカニズムの知られざる可能性に、私は大いに期待しています。
実際の症例の一部をご紹介します。
症例1)55歳女性
原疾患:慢性関節リウマチ、
和温療法を受けている理由:疼痛コントロール
和温療法の効能:
初回後、帰宅後、久しぶりに熟眠できた。
2回目:慢性的だった動悸症状が緩和
3回目:和温療法を受けると2日間は痛みが和らぐようになった
7回目:全体的に疼痛が緩和し、内服薬が減量
症例2)41歳女性
原疾患:元来健康
和温療法を受けている理由:不妊治療中につき、冷え症の改善
和温療法の効能:
5回目 末端の血流の状態に比例するPI値が顕著に上昇。
9回目「風邪をひきにくい、風邪が治りやすい」といった、免疫力アップを示す体調の変化を感じられるようになる。
桜医院 院長 柴田美奈子
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