天野理事長ブログ&スケジュール

2020.08.13

『排尿日誌』のすすめ

岩手県盛岡市 葛クリニック 佐々木先生の投稿です。

麦茶2杯

 

排尿状態や尿失禁のタイプをおおよそ把握するツールとして、排尿日誌があります。

排尿のパターンを知ることは排尿ケアを考えるうえで大変役に立ちます。

 

排尿日誌とは、起床から翌朝までの排尿時刻や排尿量などを記録する日誌です。

排尿日誌では、1回排尿量、尿意切迫感、尿漏れの量、排尿回数、飲み物の量などを記入します。

排尿日誌をつけるのは意外と大変なので、休日などの余裕がとれるときをみつけて、数日つけていただきます。

排尿日誌をつけることでどんなことがわかってくるかというと‥

 

  • 「最近、トイレがとても近いわ」なんて思っていたら、単純に飲みすぎていたことが結構あります。飲んでいる量や飲んでいるものについて、健康な人は気をつけていないことが多いです。実は、飲み物、食べ物の種類によっても排尿状態に影響が出ることがあります。

  • 飲んでいる量が多くないのに排尿回数が多い場合、膀胱に尿が溜められず強い尿意を感じているときは、過活動膀胱が考えられます。

  • 高齢者に多い夜間頻尿は、過活動膀胱、夜間多尿、睡眠障害の主に3つの原因から生じます。原因によって治療が異なってくることから、診断が大切になってきます。原因診断をする上で、排尿日誌は最も有効な診断ツールです。

 

計測方法は計量カップで1回ごとの排尿量を計ります。計量カップは100円ショップでも手軽に入手できます。

 

排尿日誌をつけることで、自分の排尿状態を客観的に把握することができ、つけるだけで症状が改善する方もいます。

また、効果がない薬を漫然と服用することがなくなります。生活指導で改善が図られることや、薬をより効果的に服用することもできます。何より患者さんに寄り添った診療ができます。

 

先生方が忙しく直接指導が困難なときは、このような日誌があること、日誌をつけてから専門医を受診するとより早期解決につながる可能性があることをお伝えいただければと思います。

 

葛クリニック    佐々木 千惠子     

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