2018.10.09
女性外来の歩み
天野惠子理事長秘書、渡邊庸子さんの投稿です。
NAHWの先生方、読者の皆様
コラムでは初めまして。渡邊庸子と申します。
天野先生が静風荘病院に来られて10年が経ちました。その間、カウンセラーとして先生の秘書業務を務めて参りました。
遡れば、NAHWが立ち上がった時に、先生からこういう活動をする事になったと御案内を頂き、第1回総会から参加させて頂きまして、たくさんの勉強をさせて頂きました。
お伝えしたい事も多々ございますが、今回は「女性外来の歩み」と言う事で簡単にこの10年を振り返ります。
女性外来は理想的な女性の外来と言う事で立ち上がりましたが、患者様の症状が非常に多岐に渡り、背景が難しく、メンタルな訴えも多いため、問診や診察に
とても時間がかかり、コストに反映しない事、又、他科の協力が不可欠な事などもあり、なかなか運営が難しいのはご承知のとおりです。
以前行った全国的なアンケートでも、そのような声が圧倒的に多くありました。
静風荘病院女性外来の患者様はこの10年でおよそ1500名。
大きく分けますと、微小血管狭心症などの心疾患系(更年期によるものも含む)と、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)や疼痛を伴うもの、そして、生活習慣病(更年期、不定愁訴を含む)、と、ほぼ3分されます。
先生の推奨される和温療法による治療も、外来開設と1年と時を置かずしてスタートされまして、心臓病や不定愁訴、また特に慢性疲労(筋痛性脳脊髄炎)の方には大きな効果を奏しております。
先生の外来を担当して最初に思いました事は、ようやく自分の話を聞いてもらえました、と涙する方のなんと多い事かということです。
根気よく患者様のお話を聞いて、絡まった糸をほぐすように、診断、治療に結びつける先生の姿勢に、私たちも心身のカウンセラーとしてできるだけ患者様のお役にたてたらと思わずにはいられず、今日まで努めて参りました。
患者様が、何故、こんなに大変な思いを長年かかえてきたのかと考えると、日本の医療の在り方にも疑問がわきます。
フランスでは母親が娘に自身の身体の主治医として婦人科医をちゃんと紹介していくと聞きました。
日本でも、家庭医、特に女性の健康に関心を持っている女医先生方に本当に期待する所です。
また、平均寿命がいまだかつてなく長くなった今、女性は家族介護などの負担も大きくなり、自分自身はどうしても後回しになっていくように見受けます。
病気になって、また、更年期前後になって初めて自分の健康について考えるのではなく、健康で豊かな人生を歩むために何が必要なのか、若いうちからちゃんと考えていかなくてはならないのかもしれません。
中学生・高校生・大学生・社会人、それぞれの年代で必要な知識をしっかり身につけるべく、生涯の健康を見据えての教育も道筋ができたらよい、そのために何ができるかなあと思ったりしております。
貴重なお時間を割いてお読み頂きありがとうございました。
渡邊庸子 拝